NHK「ぼやき川柳大賞」を獲る方法

兵庫県のペンネーム落ちこぼれがボツ続きの体験を赤裸々に綴ります。

初めての入選

 私が初めてぼやき川柳に投句したのは2013年3月のことだった。ふと思い立って、番組のホームページから送った。「招く」というお題に、「ドアホンに映ればみんなカバになる」(兵庫県・落ちこぼれ)。ドアホンを押した来客に室内のモニターから「はい」と返事をすると、ドアホンのカメラに顔を近づけて「〇〇です」と言う。そのときのアップした顔が室内のモニターではどうもカバに似ているなあと思ったからだ。放送はスマホボイスレコーダーを用意して、何度もラジオを録音しながら聞いた。割合早い時間帯に入選を果たしたので、録音ストップ、録音再開の手間は少なくて済んだ。「兵庫県の落ちこぼれさん」と佐藤誠アナウンサーが言った瞬間、家じゅうの空気が張り詰めたような感覚に襲われた。句が読まれた瞬間は天にも昇るような気持ちになった。ただし初めての投句でいきなり入選を果たすのは決して珍しいことではない。「似たような類似句なら常連さんよりも新しい聴取者を入選させてあげよう」という番組側の意図もあるだろう。大西泰世先生は「昆虫の接写をするイメージでしょうか」というような趣旨のことを言ってくださった。欣喜雀躍して家族にも録音を聞かせた。二十代の娘は「なんで読まれると分かっていたの?」と聞いた。私は「そりゃあ、お父さんの実力をもってすれば!」と胸を張った。ところが、これがぼやき川柳で読まれるという「麻薬」、ボツ続きとの付き合いの始まりになるとは知る由もなかった。