NHK「ぼやき川柳大賞」を獲る方法

兵庫県のペンネーム「落ちこぼれ」がボツ続きの体験を赤裸々に綴ります。

大西先生が短大で川柳講義をすることになったと報じた朝日新聞

1990年3月4日付    朝刊       2社    
     スナックママ、短大で川柳講義 姫路の大西さん、感性に評価【大阪】 

 スナックのママが、仕事の合間に詠んだ川柳のユニークさを認められ、大学の教壇に立つ。姫路市福中町でスナック「文庫ヤ」を経営する大西泰世さん(41)。神戸山手女子短大(神戸市中央区諏訪山町)の国文学科・非常勤講師として、10月から「『川柳する』こと『生きる』こと」のテーマで講義する。同短大は「実体験を含め、作家として生の声を学生に伝えてほしい」と期待している。
 同短大では、小説や詩の作者が自分の作品をテーマに講義する「実作者による文芸講座」を開いている。その講座を持つ小説家の軒上泊さんが大西さんの川柳のファンだったことから、「一緒にやりませんか」と声をかけた。短大側も教授会を開き、「感性がすばらしい」と異色の人事を認めた。講義は週1回で半年の予定。
 大西さんが川柳と出合ったのは20代の半ば。友人に勧められ、「俳句にはない川柳の魅力を感じた」と話す。去年5月に第2句集「世紀末の小町」を出した。
 「現身(うつしみ)へほろりと溶ける沈丁花」--ほろりと溶け、沈丁花になるのは作者自身。現身となり、もっと大きな存在になったのは恋心か。
 「ひらかなのように男がやってくる」--言葉が向こうからやってきたという句。男の持つ悲しさを詠んだ。
 難解な表現の中に本質を見据えようとする。作家の立松和平さんは「どの作品もひやっとしている。それでいて持ち重りがする」と評する。喫茶店経営のあと、一昨年夏からスナックを開いた。開店直後の、客のいないカウンターで想を練ることが多い。「仕事と川柳とは切り離しているつもり。けど、どこかで影響されているかもしれません。いい句ができたときは、やっぱりお酒がおいしいですね」
 教壇に立つことについては、「自分の思いを表現する手段として川柳があることを感じ取ってほしい。表現方法がたくさんあるようで、実は貧しいのが今の若者ではないかしら」。