NHK「ぼやき川柳大賞」を獲る方法

兵庫県のペンネーム落ちこぼれがボツ続きの体験を赤裸々に綴ります。

どうしてもかなわない天才川柳作家

 「土曜ほっと」のぼやき川柳には知る人ぞ知る常連さんがいた。全国から2千通もの応募があって、100人ほどが読まれる中に、ほぼ毎週のように読まれ、一カ月に一回くらいは当然のように大賞をかっさらっていく猛者。私はこの人をひそかに「天才」と呼び、私淑していた。「穿ち」「軽み」「おかしみ」。川柳の3要件を備えて余りある完璧な句を繰り出してくる人物だった。もちろんお会いしたことはない。熊本県の甲斐良一(かい・りょういち)さんがその人である。論より証拠。甲斐さんの作品をインターネット上で拾うとこんな句が見つかる。
お題「ゆっくり」で「ゆっくりと雑な仕事をする社員」
お題「曲がる」で「俺のハグ イナバウアーでよける妻」
お題「意外」で「あの人に言った内緒が漏れてない」
お題「危ない」で「ちょいワルと今では医者に言われてる」
お題「ネズミ」で「記憶力かじるネズミがいるらしい」
お題「答える」で「才能が恥ずかしがって出てこない」
お題「地図」で「この地図でよくぞ着いたと驚かれ」
 私などは甲斐さんの足元にも及ばない。全国レベルの最上位に位置する雲の上の人とお見受けした。間違いなく私と気が合う人物だろう。
ほかにもすごい人がいる。まず兵庫県の山下雅子さんだ。女性にしか作れない句というのがあり、逆立ちしても私にはあの句は作れない。千葉県のハイブリッヂさん、東京都のカリントイーストウッドさん、三重県の伊藤石英さんらも私などには越えられない高い山のような存在だ。彼らは短編小説を五七五に凝縮したような非の打ちどころのない句を作る。