NHK「ぼやき川柳大賞」を獲る方法

兵庫県のペンネーム落ちこぼれがボツ続きの体験を赤裸々に綴ります。

これを心がけていれば大賞句が獲れる

 

一、大賞句に共通するのはこの七つ

ぼやき川柳に限りません。サラリーマン川柳や健康川柳、スポーツ川柳などで大賞に輝く句には次の七つの共通点があると思います。逆に言えばこの共通点を兼ね備えた句を作れば間違いなく大賞を獲ることが出来るということです。そういう私もまだまだ修業が足りません。これらは私の目標であり、理想と言ってもいいでしょう。あるいは永遠に極めることができない高みなのかもしれません。

  • 耳で聞いただけでパッと情景を思い浮かべられる
  • 軽くクスッと笑える
  • それなのに少し泣けてくる
  • 滑稽なまでに真摯に生きる人間の性(さが)を見事に衝いていて、すなわち人間讃歌になっている
  • 切り口が斬新である
  • ちっとも皮肉や嫌味に聞こえない
  • 大仰に構えないで身辺の些事に着目している。あるいは「神は細部に宿る」と心得ている 

 

 

二、大賞句を獲る究極の極意を披露

究極の極意

最後に「ぼやき川柳大賞」を獲るための究極の極意を伝授します。これは私が体験的に会得した法則、いわば「経験則」から導き出した結論です。門外不出の秘伝なので、くれぐれも「取り扱い注意」となります。マル秘事項ですがここに公開します。敵に手の内を見せることで、競争相手が増えてボツになる回数が増えるかもしれないというもどかしさもありますが、正々堂々と開陳します。

 

三、サラリーマン川柳などにも応用ができる秘伝

これらをヒントにすると、スポーツ川柳やサラリーマン川柳、親子川柳、介護川柳などにも応用できると思います。着眼点をその分野に移す、フォーカスするだけでよいのです。

四、選ぶテーマはズバリこれだ!

 

選ぶテーマですが、次のテーマで句を作りましょう。

 ①おばちゃんネタは鉄板

おばちゃんは噂話を聞いて触れ回る、尾ひれを付けてそれを伝言する、声が大きい、「そうそう」と相槌を打ち、「ガシャーン」「ごそごそ」といった擬音語・擬態語を繰り返す。電車で隣の人に飴ちゃんを配る、といった日本のおばちゃんの生態を描く 

②定年後の無聊、手持ち無沙汰をうたう

定年後に時間をもてあまし、図書館、公園、ショッピングモール、喫茶店に行くのがルーティンになってしまう

③体重が増え、痩せてもすぐリバウンドしてしまうことを嘆く

太り過ぎて体重計に乗るのが怖い、早いリバウンドに焦るといったいろいろな痩身法とその挫折を描く

④老人会で老いらくの恋をする

⑤クラス会に出てがっかりする

クラス会や同窓会でかつてのマドンナに会うとがっかりする、同様に老けた自分に向き合うことになって落ち込む

⑥医者通いの朝の風景を風刺する

医者通いで診察券がたまっていく、病院の元気な待合室はまるで社交場

⑦恐妻家の肩身の狭さを描写する、気の弱い夫が立ち回る様子、妻の愚痴におびえる様子

⑧孫に極端に甘くなる自分を笑う 孫が来て夫婦に会話が復活する、年金日をめがけて来る孫のために出費がかさむ、欲しい物を買ってあげる自分に惚れ惚れする

⑨老夫婦のフルムーン旅行では喧嘩ばかり、夫婦に会話がないことを指摘する

⑩美人の湯に集う人々は果たして美人になれるのかを考察する

⑪赤い糸で結ばれていたはずの夫婦。あの糸はいったい何だったのか。ほどけやすい結び方だったのか固結びだったのかを回想する

⑫自分史を出版して親戚に贈って迷惑がられることを嘆く。贈られた側は老眼鏡をかけてでも一度読まないわけにはいかない。良好な関係を続けるためには感想の一つも言わないわけにはいかない。贈った本人はその罪悪に気づかない

⑬諭吉(1万円札)が目の前に出されると人が変わる様子を描写する

⑭披露宴で主賓のスピーチが長すぎてビールがぬるくなるさまを嘆く

⑮本棚や洋服ダンスなどあらぬところからへそくりが見つかって急にうれしくなる自分を語る

左官さんのように厚化粧に賭ける女性を描く

⑰理髪店や歯医者など、無抵抗でのっぴきならないシチュエーションのコメディーを狙う

⑱ペットネタ 犬(ポチ)と猫(ミーちゃん)に慰められることを描く

⑲共白髪、老い二人、限界集落シャッター通りの悲哀を描く

⑳義母と鬼嫁の確執、その間に立って風見鶏を決め込む長男をうたう

㉑上司と肩書、縄のれん、五時から男、一次会で上司が去ったら二次会が盛り上がる様子を突く

㉒お隣さんのけんかが筒抜けで聞こえてくる日本の住宅事情を語る

㉓お風呂ではエコーが利いて音痴でも歌がうまく聞こえる

㉔ゴミ出し日を上空で待ち受けるカラスが教えてくれる

㉕冠婚葬祭、とくにお通夜にあらぬことが起きる(シチュエーション・コメディー風)、結婚式での花嫁の父を描く

㉖お化粧をして、たかだか大根1本を買いに行く滑稽さ

㉗井戸端会議は欠席裁判とうわさ話の交差点

㉘職場の広告塔に告げたのにその噂がどういうわけか広まらない

㉙二度目の生前葬をしたら人の集まりが悪いのはなぜか

㉚当たりもしない宝くじをせっせと買う心理

㉚カネがないのに競馬につぎ込んで帰りの電車賃もない悲喜劇

㉛映画館を出るとき自分が高倉健になってしまっている映画通

㉜大きなスポーツイベントで日本人や日本チームが勝ち、国民が沸いたシーンを描く

 

結論 

サラリーマン川柳、スポーツ川柳、介護川柳、親子川柳、夫婦川柳、健康川柳、子育て川柳……と今はいろいろ募集がありますが、いずれにしても市井の凡人の日常生活の悲哀(ペーソス)、トホホを描くもの、自虐的なもの、世間で常識とされていることの痛烈な風刺、我ながら何ともみみっちいこと、またまたやらかしてしまった大失敗談が好まれます。汲めども尽きぬ泉のごとく、川柳のネタは身辺のありとあらゆるところに転がっています。句の巧拙より、まず見つけることが始まりです。