NHKラジオ深夜便のぼやき川柳のホームページでは、大賞を受賞した句を以下のように随時紹介してくれています。そのまま引用します。なるほど甲乙つけがたい名作ばかりです。およそ自分の頭からは永久に出てこないような作品群と言えます。「これは秀逸!」と思う句をまったくの独断で選んでみました。競馬の予想紙ふうに優先度の高い順に◎〇▲△としています。
ぼやき川柳大賞受賞句
2025年11月のぼやき川柳大賞
お題『煮る』(2025年11月7日)
「一夜明け夫婦げんかは煮こごりに」 兵庫県 落ちこぼれ
「美味(おい)しいが何の煮物か分からない」長崎県 縞原二郎
○「しゃぶしゃぶのような夫の風呂タイム」 北海道 宗谷岬とゆうちゃん
お題『コスモス』(2025年10月31日)
「コスモスが咲いて明日から回り道」 兵庫県 松村宏之
「コスモスのような私が何故(なぜ)もてぬ」広島県 みかど
「コスモスも内緒話が好きでした」 山形県 山寺
2025年10月のぼやき川柳大賞
お題『きのこ』(2025年10月17日)
「きのこ狩り見た目美人に手を出すな」静岡県 伊豆の三太郎
「このキノコ君が食べたら僕も食う」 長崎県 そいバッテン
〇「松茸をいただきしばし鎖国する」 富山県 風の盆
お題『揺れる』(2025年10月10日)
▲「ガード下電車のたびに揺れる酒」 栃木県 那須武
「グラグラと抜けそうな歯と引っ越す日」石川県 忍穂鞠
「品格はこんなことでは揺れません」 宮城県 仙石線
お題『おしゃれ』(2025年10月3日)
△「おしゃれする妻の背なには羽根がある」富山県 かぐや
「似合わない恋とセーター捨てました」 三重県 水谷裕子
「若者よ破けていると声かけた」 埼玉県 いなほ
2025年9月のぼやき川柳大賞
お題『すすき』(2025年9月19日)
「百歳の増えてうなづくすすきの穂」 山口県 うちでの小づち
「十五夜はいつかとぼくに聞くすすき」茨城県 勇気百倍
「釣果なく父はすすきを持ち帰り」 滋賀県 谷口由子
お題『分ける』(2025年9月12日)
「カステラの厚みでわかる妻の愛」 宮城県 星良子
「血を分けた蚊がゆうゆうと飛んで行く」千葉県 浦賀奉行
「お裾分け値札がうまく剝がれない」 埼玉県 秋山佐代子
お題『芋』(2025年9月5日)
「ハンドルも焼き芋になるこの暑さ」愛媛県 松田正人
「焼きいもに手招きされて買う娘」 新潟県 桑原真琴
「妻の愚痴芋づる式にあの日まで」 埼玉県 鬼滅のバアバ
お題『流す』(2025年7月11日)
「汗水を湯水のように子が使う」 大阪府 安井秀美
「厚化粧なかったことにする暑さ」 群馬県 ヒグラシ
「散歩後にシャワーで汗を流す犬」兵庫県 中前田淑子
お題『帽子』(2025年7月4日)
〇「麦わら帽かぶれば夏の扉あく」 愛知県 家田満理
◎「捨てられぬ無冠の父の登山帽」 東京都 日馬美樹
「アチコチでなくした帽子元気かな」東京都 練馬のひでちゃん
お題『変化』(2025年6月20日)
「変化ではなく老化だと教えられ」福岡県 二宮正博
▲「名刺見て言葉づかいが改まり」 東京都 多摩川勘助
〇「父の日も変化はなくてカップ麺」沖縄県 イリオモテヤマネコ
お題『にじむ』(2025年6月13日)
「星みると涙がにじむお父さん」 佐賀県 古舘寛子
◎「梅雨時は水琴窟になる我が家」 三重県 お百姓モーツァルト
「笑えない昭和が滲む(にじむ)親父(おやじ)ギャグ」埼玉県 尾上文夫
お題『傘』(2025年6月6日)
「案の定返ってこない金と傘」 宮城県 山口恭正
「折れた傘足りてないのかカルシウム」神奈川県 せきぼー
△「傘の花行列の先古古古米」 大阪府 角田弘子
お題『押す』(2025年5月9日)
◎「押し出しの立派な部下をもつ不幸」 奈良県 いさちゃん
◎「押し入れは見られたくない秘密基地」新潟県 ハイヒール
「女房にまわし取られて土俵際」 愛知県 三河の民
お題『子ども』(2025年5月2日)
「子供たち親孝行を節約し」 愛知県 山本佳子
〇「とりあえず電池切れまで動く孫」広島県 鯨
「中三の娘の部屋が遠いパパ」 佐賀県 西拓斗
お題『迎える』(2025年4月18日)
「一日をごくろうさまとお月さま」 岡山県 藤原健二
○「備蓄米迎えに行くよ何処(どこ)に居る」大阪府 村居英子
▲「いいわけを両手に下げて迎え撃つ」 愛媛県 ぐっちいかな
お題『りんご』(2025年4月11日)
「姫りんごきみは昔の妻のよう」 東京都 糖質無制限
「縁日で吸い寄せられるリンゴ飴(あめ)」熊本県 花より団子
○「リンゴ描き己の画力思い知る」 千葉県 高市良男
お題『便り』(2025年4月4日)
「酒もって早くおいでと桜から」 東京都 夜半亭あぶらー虫
△「メールだとすぐに返事が来てしまう」沖縄県 南の海人
「亡き母の声まで聴こえるような文」 東京都 星の雫
お題『穏やか』(2025年3月20日)
「のどかとは奇数の月の老い2人」 埼玉県 橋本こん奈
「うちの嫁よりも穏やか仁王さま」 愛知県 友和
〇「穏やかに出来るもんかよこんな世で」大阪府 坂上誠
お題『菓子』(2025年3月14日)
「わが家でも中身が消える菓子金庫」 神奈川県 中平正和
「物価高まんじゅうだけがなぜやせる」岡山県 石黒敬子
▲「講演会マナーモードで食うせんべい」岩手県 桜井五郎
お題『桃』(2025年3月7日)
「玄関が暖かくなる桃の花」 奈良県 わかば
「桃太郎米騒動の鬼退治」 宮城県 小野里晃
「昼間から羨ましいぞ右大臣」愛知県 爺Gメン80
2025年2月のぼやき川柳大賞
お題『猫』(2025年2月21日)
「猫じゃらし俺に使うな俺は犬」 大阪府 山田哲雄
「猫飼ったつもりが猫に飼われてた」福岡県 橋口久美
お題『恋』(2025年2月14日)
〇「恋人の頃もあったと聞くイビキ」 千葉県 菜の花太郎
◎「恋敵負かしたことを後悔す」 徳島県 山西勝
「恋をしてウソが上手になりました」東京都 しげちゃん
お題『着る』(2025年2月7日)
「可愛い(かわいい)と孫に言われて着るピンク」大阪府 走るカラス
〇「留め袖がタンス預金の見張り番」 静岡県 望月文子
「妻笑うヒョウ柄を着てまた笑う」 大阪府 港区のヒロくん
2025年1月のぼやき川柳大賞
※1月17日の『ぼやき川柳』は、震災特番のためお休み
お題『チャンス』(2025年1月10日)
▲「おサイフを黄色に替えて寝正月」 茨城県 ゆき坊
「女神様ロングヘアーでいてほしい」 徳島県 とりりんご
◎「酌をして切り出すチャンス探り合う」三重県 ぼやせん娘
お題『祝う』(2025年1月3日)
「孫9人脛(すね)ボロボロのお正月」長崎県 井上純子
〇「飲みたくてあちこち探す祝い事」 静岡県 我楽多
「定年を祝われ少し寂しい日」 愛知県 よか
お題『積む』(2024年12月20日)
「終電がオレのケーキを積んだまま」奈良県 あほらしやの鐘が鳴る
〇「経験は積んでもオレはこんなもん」京都府 野暮天・安
▲「あっちからこっちへ積んで大掃除」岐阜県 おかエリ
お題『白』(2024年12月13日)
「白い服今日は外食いたしません」 大阪府 大野千枝子
「獅子舞がホワイトニングして準備」香川県 柿沢菊子
◎「肩書が取れると白は白に見え」 奈良県 渡辺勇三
お題『セーター』(2024年12月6日)
「セーターにたっぷり妻の嘘(うそ)がある」愛知県 フーマー
〇「セーターを着ている方が社長です」 兵庫県 西宮淑子
◎「ペアルック憧れるのをやめましょう」 兵庫県 兵庫県のゆういち
お題『感謝』(2024年11月15日)
◎「感謝には特上上と並がある」 長野県 国道256号線
〇「ありがとうごめんなさいで世を渡る」福岡県 川浪康司
「手を合わす神棚よりもエアコンに」 大阪府 堺のマブジー
お題『旅』(2024年11月8日)
▲「外国語習いに行こか紅葉狩り」 愛媛県 さんごしょう
▲「旅に出る前から恥をかいている」静岡県 望月啓次
「果てしなく伸びる胃袋旅の常」 埼玉県 鈴木さな奈
お題『自慢』(2024年11月1日)
「宝くじ三億当たり自慢せず」 千葉県 田辺清
「自慢する話ある時電話くる」 東京都 吉田圭子
△「トロフィーの並んだ居間に通される」岩手県 ポテトサラダ
お題『隣』(2024年10月18日)
「雨模様(もよう)隣の布団どうしよう」長野県 宮沢久江
「隣から悪い自分がささやいた」 大阪府 脇田茂樹
◎「お隣も昭和を生きた枯れすすき」 岐阜県 キルト
お題『惜しい』(2024年10月11日)
「間に合わず不足を貼って出すハガキ」 北海道 浦川コピア
「ばあちゃんと呼んだ孫には金やらぬ」 岡山県 大原節子
◎「何回も片鱗(へんりん)を見せ定年に」佐賀県 牟田和彦
お題『柿』(2024年10月4日)
「鐘が鳴るどこかで柿を食べている」神奈川県 鳥毛義明
◎「来た嫁に渋抜きされた老二人」 福岡県 米村健藏
「柿のなる家の人とは友になる」 大阪府 ムーチン
お題『深い』(2024年9月20日)
「深すぎて分かってくれぬ僕の愛」愛知県 山﨑止水
〇「あれ以来深く帽子をかぶるクセ」静岡県 前田修一
◎「かさぶたをはがし古傷深くする」埼玉県 岡安節子
お題『月』(2024年9月13日)
▲「お月様二つに見えてお開きに」 千葉県 未咲
「通帳を見るにはやはり月明かり」 佐賀県 井上俊己
「徘徊(はいかい)の君をやさしく包む月」奈良県 やひろ
お題『ビール』(2024年8月16日)
「昼は水夜はビールを補給する」 山形県 日和
「無口でもビールはいつも聞き上手」岩手県 本田和
△「本物のビールを見ると身構える」 熊本県 つくるちゃん
お題『溶ける』(2024年8月9日)
〇「わだかまり溶けて食欲もりもりと」 東京都 西村捷敏
「初恋はかき氷より早く溶け」 神奈川県 さとっち
「君からの甘い誘いにでろんでろん」 千葉県 丑三深夜
お題『朝顔』(2024年8月2日)
「朝顔におはよう今日が動き出す」 埼玉県 五十嵐静子
「ラジオ体操聞いて朝顔深呼吸」 埼玉県 橋本湧水
◎「朝顔に似てすぐ萎む(しぼむ)恋心」 東京都 本橋芳男
お題『キャンプ』(2024年7月19日)
「皆無口肉を忘れてきたキャンプ」 大阪府 末吉利次
「家庭でもキャンプみたいに動いてよ」 宮城県 たこにゃん
▲「ソロキャンプ友達いないわけじゃない」東京都 石井秀一
お題『冷やす』(2024年7月12日)
△「新札のブームを冷やすキャッシュレス」千葉県 山田明
「図書館へ枕を持って行きたいが」 埼玉県 曽田英夫
「お出かけに冷蔵庫からシャツを出す」京都府 小田部祐子
お題『うちわ』(2024年7月5日)
「電気代にうちわ使用を勧められ」 香川県 うどん人
「ゴキブリを叩いた(たたいた)うちわよこす妻」青森県 十和田仁
◎「かあさんの団扇(うちわ)の風に色があり」 東京都 小柳清治
お題『折る』(2024年6月21日)
◎「怒りには折れぬ心も涙には」 熊本県 ひつじが1匹
○「折り畳み式の胃袋持った妻」 熊本県 甲斐良一
◎「できるひとのみが味わう挫折感」岐阜県 高山浩一
お題『箱』(2024年6月14日)
「薬箱恋煩い(わずらい)の薬まで」新潟県 佐渡おけさ
「化粧品ビックリ箱の中にある」 兵庫県 まねきねこ
〇「彼女来ずボックス席におれひとり」京都府 メタボの牛若丸
お題『しずく』(2024年6月7日)
◎「雨の日は水琴窟になるわが家」 京都府 不安心タイガース
「野菜高点滴みたいな豆ごはん」 京都府 吉岡正和
◎「監視されしずくのような醤油(しょうゆ)かけ」福井県 甘党
お題『勝つ』(2024年5月17日)
◎「負け組になったらできた真の友」 三重県 ウルトラの父
▲「愛は勝つ信じていても今ひとり」 山口県 夢香
「楽勝が風呂から出たらボロボロに」京都府 ぬいぐるみ班まきば
お題『体操』(2024年5月10日)
「新体操見れば爺(じい)ちゃん若返る」 神奈川県 扇畑の管理人
◎「恋ごころ準備体操せず動く」 東京都 汐海岬
「首体操してもお金は回らない」 大阪府 田原勝弘
お題『意見』(2024年5月3日)
「今はもう神のお告げになった妻」大阪府 太田省三
「全員の意見が違う孫4人」 大阪府 植田清夫
◎「俺の意見通った後の胸騒ぎ」 宮城県 大場敬
お題『散る』(2024年4月19日)
「サブちゃんが現れそうな花ふぶき」 兵庫県 壮年隊
〇「咲いて散り散っては咲いてまだ一人」高知県 高知モグラタロー
「海ガメの赤ちゃん海にいちもくさん」愛知県 にったみさ
お題『スミレ』(2024年4月12日)
「老いひとり道のスミレと立ち話」 埼玉県 五十代夏子
「一輪のスミレに気づく人でいて」 埼玉県 むかしおかし
「つまづいた先にスミレのあどけなさ」埼玉県 秋山和市
お題『やさしい』(2024年4月5日)
「さくら咲きやさしい散歩道になり」 大阪府 樋川眞一
〇「春の陽(ひ)が添い寝するので起きられず」静岡県 伊豆の三太郎
「優しいね減量中にモンブラン」 千葉県 ひよどりなおこ
お題『戻る』(2024年3月15日)
「会社からお昼を食べに来る夫」 岐阜県 川辺町子
「意気地なし三日で戻る元のさや」大阪府 安井秀美
△「成田離婚なのに戻らぬ祝い金」 岐阜県 恵那京子
お題『春』(2024年3月8日)
「大物の釣果は隣春の海」 奈良県 辰巳清治
〇「春だから逢(あ)いたい人に逢いにゆく」兵庫県 赤とんぼ
「春眠が片棒担ぎ遅刻する」 茨城県 藤郷正信
お題『出る』(2024年3月1日)
◎「出涸らし(でがらし)を俺に注いで茶葉換える」埼玉県 尾上文
「美人の湯美人になって出て来ます」 千葉県 舟橋八千代
▲「電話して彼女の父が出た昭和」 福島県 安達太郎
お題『近い』(2024年2月16日)
「炬燵(こたつ)から手が届かんのトイレだけ」大阪府 豊中のタカシ
「近づいて見たら全然別のもの」 新潟県 高橋敦子
「遠近法上手に使ういい夫婦」 福岡県 田島晋
お題『枝』(2024年2月9日)
◎「盆栽の枝をそぉっと糊(のり)で付け」大阪府 藤本欣久
「長電話枝から小枝話飛ぶ」 新潟県 あったらもん
「桃の枝飾れば雛(ひな)も頬染める」 愛知県 家田満理
お題『残す』(2024年2月2日)
〇「残すのは海老(えび)の尻尾と葬儀代」 広島県 おとといの干柿
▲「樟脳(しょうのう)も門出を祝う披露宴」埼玉県 ソフィア・ロージン
「結論は明日に残して酒にする」 大分県 大分市みやび
お題『大きい』(2024年1月19日)
△「観覧車だんだん空をでかくする」茨城県 民生
「ほたるいか大王いかに育つかも」岐阜県 日比野勉
◎「世話焼きは世話焼きの人大嫌い」富山県 高岡一郎
お題『始める』(2024年1月12日)
〇「声高に始めひっそり終わる趣味」 神奈川県 山吹みどり
△「始まりのゴングはいつも妻鳴らす」東京都 茂田野マイ子
「女子会も静かにカニを食べ始め」 香川県 あかくまさん
お題『竜』(2024年1月5日)
「三日までやる気は龍(りゅう)のごとくなり」東京都 甘味処
「龍(りゅう)の背で世界平和のビラをまく」 静岡県 戸田ナオエ
「福袋竜の鱗(うろこ)も入れてあり」 大阪府 大阪のコーセー爺い